第9回

 オスプレイの開発が始まってから実戦配備までに24年の月日を費やしました。その長期化は、画期的な転換型航空機の技術的開発や、事故発生による国防省による停止命令ばかりによるものではありませんでした。世界の政治、軍事情勢の変化もありました。

 開発が始まって7年目の1989年、大戦後44年間続いた東西冷戦が終結しました。ベルリンの壁が歓喜の中で壊される光景が今でも目に浮かびます。東欧諸国での民主化運動の高まりは、共産国を崩壊させ、その2年後にはソ連にまで波及しました。世界における米・ソのにらみ合い、覇権争いが正式な形で終わりました。名実ともに世界の覇者、政治的、軍事的覇者にもなったアメリカにとって、軍事力拡大の必要性は薄らぎました。

 逆に開発を速める世界的な出来事もありました。特に9・11同時多発テロでは、乗っ取られた4機の民間航空機がニューヨークの貿易センタービルや国防省に突っ込みました。2001年のこの事件で、世界の覇者アメリカは黙っているわけにはいきません。世界の同情もアメリカに集中し、アメリカの軍事力の行使は世界に是認された形となり、イラク進攻に繋がりました。当然にオスプレイの開発の進行も早まりました。

 膨大な予算を必要としたオスプレイの開発は、世界情勢、世界の軍事情勢に翻弄されるように行われてきました。

 東西冷戦が終了して30年近くになりますが、局地的な民族間の争いは激しく、公開処刑や自爆テロにまで先鋭化し、国際的になっています。

 軍事行為は基本的に防御と攻撃で成り立っています。しかしさらにその奥に、「報復」という行為とその連鎖までが内在してしまっています。

 「戦争反対」に異論はありませんが、私たちが求め続ける安心・安全の現実的結果として、軍事力の充実、拡大が進んでいます。